LA PORTE D’OR

店主のブログ〜

オカシナタビ 7 五感

2016.08.25

何も気にしていなかったが、周りの空気に誘われワールドカップを観戦する。

近くのカフェに入り、飲み物を注文しようと店員を呼ぶ。

が、店員。 手のひらをこっちに見せ、ちょっと待て。と もう一度呼ぶ。

すると、今、良いところだから少し待って。と お国柄。客でも待たせる。 笛がなると、で、何?と(笑) みんなサッカー大好き。野球など知らない。 現にスポーツ用品店に行っても野球用品など売ってもいない。

そして、ジダンが頭突きをした瞬間、一瞬、街が静まり返る。 そして、大ブーイング。

もちろん相手選手にだ。 その時点では詳細はよく解らなかったが、もっとやれ!と 隣のおっちゃんは叫んでいた。 凄い場面に立ち会ってしまった。 ジダンと言う人はこんなにもみんなに愛されていて、まさに神。英雄なのだと。

パリまで出て買い物をするとき、必ず立ち寄っていた場所 ブックオフ。この空間だけは日本そのもの。 日本の書物、CD、などなど、懐かしい物が並ぶ。 日本から持って来たが帰国時に売って帰る おそらくそんな感じだとは思うが、嬉しい空間だ。 店員も日本人。

近くには日本人が多く集まる地区があり、値段はそれなりだが日本食が買えるスーパーがあったり ラーメン屋や寿司屋なども多い。

特別美味しい訳ではないが、ラーメン屋に行くと フランス人が焼そばをパスタの様にクルクルとフォーク巻いて食べたり、チャーハンにタバスコ。 餃子にソースと意外と面白い。 きっと、外国人から見れば日本人のおかしな所もたた有るのだろうと思う。 ここでは当たり前が存在しない。

色んな人、民族、言葉、習慣、様々な人間模様が入り混じる。 陸続きの国境、電車で国をまたぐ感覚、島国の日本では感じた事の無い感覚が 沢山ある。 自分はこれだと思えば突き進む。真っ直ぐ進めば間違えに気づいた時にそこまで戻って見れば良い。

途中、あっち行ったり、こっち行ってみたりすると、間違えに気づいた時に戻れない。 全ての五感を頼りに行動する。 言葉には変え難いが、頼る物が無いと、自然と感覚が研ぎ澄まされ、どんな些細な情報も見逃すまいといった 感情、精神が芽生える。

日本にいる内は、日本と言う国に守られている。のたれ死ぬ事はまずない。

が、一歩外に出ると、自分で行動せねばなにも始まらない。 右に行ったら何があって、左に行ったらこれがある。 たまの休みに、買い物がてらアンジェからパリに通い、ようやくパリの街が見えてきた。

*写真は自分の中の聖地・パリ、ブックオフ

オカシナタビ 6 英雄

2016.08.03

色々な方の力を借りて、何とか店に入り込む事が出来た。

日本を立つ前に色々と相談に乗って頂いた方々に本当に感謝したい。 今日で上がる(辞める)と言っていた店所有の日本人の部屋をそのまま譲り受け、コインランドリーやスーパー などなど色々と町の中を教えて頂いた。

言葉が通じることの素晴らしい事、素晴らしい事。

他の店で働く日本人の方まで紹介して頂きようやく先が少し開けてきた。 自分が訪ねた店にも、他に日本人が2人働いていた。 聞けば、皆さん日本の某有名店で働いていたと言う菓子屋の中でもエリート。 志も高く、目的もしっかりとしている。 お菓子に対する考え方、知識の広さ、姿勢、見習う所ばかりだ。

もっと勉強せねば、そんなに甘い世界ではない。 言われた訳ではないが、そう聞こえた。 翌日から、新たなフランス生活が始まった。 職場のフランス人は皆、日本人慣れしていて優しかった。

働く上で、数字は重要だった。アン・ドゥ・トロア、キャトル・・・。最初はチンプンカンプンだったが、ある種の法則が分かってきたり お昼ご飯は、姉妹店のパン屋からバケットが大量に届けられ 冷蔵庫の中の具材を挟み、サンドイッチにして皆で食べた。

フランスでは、挨拶をしながら握手をする習慣がある。朝、帰り、とても良い習慣だと思う。 何となく分かり合える部分がある。何より言葉を必要としないコミュニケーションだ。 くしゃみをすれば、アテスウェ、と言われ、メルシーと返す。 最初は戸惑うが慣れれば面白い。

厨房は店の地下。階段を下りていくとまるで、防空壕。 意外と奥深く広い。トンネル状にタイル張り、真っ直ぐではなく曲がりくねっている。 ただただ、驚くばかりだ。 朝6時から昼3時位まで働く。彼らは、けっして無理はしない。 仕事とプライベートをはっきり分ける。 日本人の様に、残業や休日出勤など恐らく有り得ない。 一見、怠け者のような見方もあるが、一緒に居れば分かる 家族、恋人と過ごす時間を大切にする民族だ。

勝手な見解ではあるが、日本人はとにかく悪く考える。 お金を貯め老後に備える。いくらお金があろうと不安で一杯。 逆に、フランス人は次のバカンスの為に働く。楽しい事しか考えない。戦勝国と敗戦国の考え方の違いなのか。

日々、色々な出来事があるが、何とか1ヶ月が過ぎる。 過ぎて見れば早い。 給料300ユーロを手にする。当時のレートで4万円ほどだ。 金額は少ないが、人生にとっては大きな一歩だ。 決してアームストロング船長のパクリではない。(笑)外国で金を稼ぐ。全くの自己満足ではあるが、月に行った気分だ。

世間は、サッカードイツワールドカップ一色に染まる。 シェフが、まだ13時過ぎだと言うのに 今日はもう終わり。帰るぞ。と ???。 日本では有り得ない光景だが、 今日はこれからフランス戦がある。だからケーキなんて誰も食べないよ。と 唖然。

ただ、サッカー熱は凄まじい。 またある時、仕事中にジダンの写真が回ってきた。 はて? すると、写真にキスをして回せと。 拒もうものなら非国民だ。 日本のサッカーがヨーロッパには適わない理由が見えたきがした。 ジダンと言えば、サッカー好きならご存知であろう、退場となったあの試合。 たまたま、パリに買い物に来ていた時に立ち寄ったカフェで観戦していた。 凄い熱気・・・。

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