LA PORTE D’OR

店主のブログ〜

オカシナタビ 24 牡蠣

2020.08.10

このブログはフィクションです。ご想像にお任せ致します。

ようやく、どうにかこうにか、部屋を見つけパリ生活がスタートする。

さて、ここからが本題。

働く場所を探さなくてはならない。とは言えあてなどない。

もちろん、すぐに決まる保障もなく、いや、むしろ雇ってくれる所など無いのかも知れない。常に不安が付きまとう。

ただ、現実、生きているだけで金はかかる。先のことは分からないが、とにかくお金を稼ごう。部屋を探す間、幾つかのアルバイト募集のアノンスを目にしていた。

ラーメン屋や寿司などを提供する日本食の店の求人が多い。その中にクレープリー(そば粉のガレット)調理補助、のアノンスを見つける。よくわからないが、日本語の求人を出していると言う事は日本語が通じる人が居るのだろう。場所も家から自転車で10分ほど、恐る恐る電話をかける。

又、いつもの

相手:アロー

自分:もしもし

相手:あーもしもし

とりあえず、店に来てくれと。

日本人の妻を持つフランス人オーナー。夫婦でやっていて他に数名雇い、店を回しているようだ。

自分も働く先の菓子屋が見つかるまでしか働けない旨を伝え、それでも構わなければ働かせて頂きたい。と、申し出る。

それでも大丈夫との事でアルバイトが始まった。

ブルターニュ地方に由来する店で前菜に名産の生牡蠣があった。

牡蠣剥ける?と、普通剥けない。フランス人に身分素振り教わる。

なかなか難しい。

フランスのレストランのオーダーでよくあるスタイルが、

あくまで例えだが

前菜+メイン+デセール 20ユーロ

前菜+メイン 15ユーロ

メイン+デセール 15ユーロ

こんな感じの並びで、前菜3品、メイン3品、デセール3品の中から一品づつチョイス。

この店の前菜の中に、牡蠣5ヶがあった。これをチョイスされるともー大変💦

仮にも4人グループで全員が前菜に牡蠣を選ぶとすると、20ヶの牡蠣を素早く剥かなければならない。馴れないうちは牡蠣剥き用のナイフが刺さる。痛い。血が出る。それでもオーダーは待ってくれない。次々注文が入る。

まず、皿に塩を盛る、次に剥いた牡蠣を並べ、最後にカットレモンをのせる。ブルターニュ地方由来だけに牡蠣を目的にくる客も多い。本当に戦場。今も両手拳にはナイフの跡が残る。

だが、この時は思いもよらなかったが、後に半年ほどパリのレストランで働く機会があった。この店ではパティシエとしてだが、流れ的に前菜・メイン・デセールの順で料理が提供されるので、前菜が忙しい時はデセールは準備さえしっかりしておけば、さほど忙しくない。この店の前菜にも生牡蠣があった。

前菜担当がピークに忙しい時はヘルプに入る。あるとき生牡蠣の大量注文が。

他の料理の事はよく分からないが牡蠣なら任せておけ、あの時の経験が身を結ぶ!シェフにも何でお前そんなに素早く剥けるんだ、と誉められる。お菓子作りではさほど誉められた事は無いが(笑)

それからは、牡蠣が入ったらユウヤを呼べと(笑)

ただ、日本で牡蠣を触った手でケーキを作るはありえませんが。何事も経験。

 

 

 

オカシナタビ 23  何事も

2020.07.13

このブログはフィクションです。ご想像にお任せ致します。

パリにはいくつか、中華街的な中国人が多く住むエリアがある。

近所にもその一つパリに居ながら中国の気分が味わえる通りがあった。

扉を開け放し朝から麻雀を打つおっちゃん達。

お店のやり取りも中国語(笑)

何度、ニイハオと言われた事か。なんとなく日本食に近い物も売っている。ヨーロッパ製造の袋麺、出前一丁。これもヨーロッパ製造のスーパードライ。味噌や醤油ぽい物。何気に助かる。

有るとき、ばっちゃんが水槽を指差し泳いでいる鯉とおぼしき魚を買っているのを目にした。

日本でもよくある、三枚に卸してくれる?的なやり取りかと思いきや網ですくい上げた魚を素手で掴み、次の瞬間、床におもいっきりたたきつける!!

血が飛び散り失神する魚。バケツの水でささっとゆすぎ袋の中へ。

ばっちゃんも普通に受け取って帰る。あぁ、ここでは当たり前の光景らしい。日本の魚屋さんの素晴らしさが分かった。

通りを進むとコインランドリーがあった。毎週休みの日はここで洗濯、乾燥まで済ませる。向かいにベトナム料理のフォー屋さんがあった。聞けばパリで最古のフォー屋らしい。いつも地元の中国人でいっぱいだ。

時折開く扉から美味そうに麺をすする人々が見える。コインランドリーも洗濯機が回っている間、およそ30分待っていなければならい。1度ズボンを盗まれた経験がある。しかも混んでいると勝手に洗濯物を出されてしまう事もあり、たかが洗濯だが気が抜けない。

遠くにも行けないので、少し馴れた頃、気になっていたフォー屋さんに行ってみた。皆黙々と食べる。メニューもよくわからないが差ほど多くはない。

ラージ(大) 10ユーロ 

スモール(小) 7ユーロ

見よう見まねでラージを注文。

待つこと数分。見た目には美味しそうなフォーが運ばれてきた。それと一緒に生のモヤシ、レモン、唐辛子、ミントの葉、何だかよく分からない香草。

んー食べ方もよくわからないが、周りを見渡し真似して食べる。とりあえず全部入れる。さぁ食べて見よう。以外に美味しいを期待したが、くそまずい(*_*)

しょっぱさの中にミント、レモン、香草。駄目だ。まずい。

が、周りを見渡せば皆、超美味そうにほうばっている。残そう物なら何をされるか分からない。ラージを頼んだ事を後悔しつつ罰ゲームの様なフォーを食し又1日が終わる。

あぁ、なけなしの10ユーロ。

自分の中ではフォーとは、余り美味しくない食べ物。しばらくそんな位置づけであったが、有るとき、別のフォー屋さんに行く機会があった。

記憶がよみがえる。やはり生のモヤシ、レモン、唐辛子…再来か。

何も入れずに、スープを一口。

あれ、美味い!

モヤシもいい感じ余熱で美味しい。

あっこれはいける。

今更ながら、最初に行ったフォー屋さんにいた方々はなかなかヘビーユーザー。

きっと美味しいんだろう。

豪に入れば郷に従え。しょっぱなからヘビーな食べ方をしたのが失敗だった。

パリでフォーを食すなら、Pho14。オペラにもありますが、13区の店がオススメです。

 

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