LA PORTE D’OR

店主のブログ〜

オカシナタビ 6 英雄

2016.08.03

色々な方の力を借りて、何とか店に入り込む事が出来た。

日本を立つ前に色々と相談に乗って頂いた方々に本当に感謝したい。 今日で上がる(辞める)と言っていた店所有の日本人の部屋をそのまま譲り受け、コインランドリーやスーパー などなど色々と町の中を教えて頂いた。

言葉が通じることの素晴らしい事、素晴らしい事。

他の店で働く日本人の方まで紹介して頂きようやく先が少し開けてきた。 自分が訪ねた店にも、他に日本人が2人働いていた。 聞けば、皆さん日本の某有名店で働いていたと言う菓子屋の中でもエリート。 志も高く、目的もしっかりとしている。 お菓子に対する考え方、知識の広さ、姿勢、見習う所ばかりだ。

もっと勉強せねば、そんなに甘い世界ではない。 言われた訳ではないが、そう聞こえた。 翌日から、新たなフランス生活が始まった。 職場のフランス人は皆、日本人慣れしていて優しかった。

働く上で、数字は重要だった。アン・ドゥ・トロア、キャトル・・・。最初はチンプンカンプンだったが、ある種の法則が分かってきたり お昼ご飯は、姉妹店のパン屋からバケットが大量に届けられ 冷蔵庫の中の具材を挟み、サンドイッチにして皆で食べた。

フランスでは、挨拶をしながら握手をする習慣がある。朝、帰り、とても良い習慣だと思う。 何となく分かり合える部分がある。何より言葉を必要としないコミュニケーションだ。 くしゃみをすれば、アテスウェ、と言われ、メルシーと返す。 最初は戸惑うが慣れれば面白い。

厨房は店の地下。階段を下りていくとまるで、防空壕。 意外と奥深く広い。トンネル状にタイル張り、真っ直ぐではなく曲がりくねっている。 ただただ、驚くばかりだ。 朝6時から昼3時位まで働く。彼らは、けっして無理はしない。 仕事とプライベートをはっきり分ける。 日本人の様に、残業や休日出勤など恐らく有り得ない。 一見、怠け者のような見方もあるが、一緒に居れば分かる 家族、恋人と過ごす時間を大切にする民族だ。

勝手な見解ではあるが、日本人はとにかく悪く考える。 お金を貯め老後に備える。いくらお金があろうと不安で一杯。 逆に、フランス人は次のバカンスの為に働く。楽しい事しか考えない。戦勝国と敗戦国の考え方の違いなのか。

日々、色々な出来事があるが、何とか1ヶ月が過ぎる。 過ぎて見れば早い。 給料300ユーロを手にする。当時のレートで4万円ほどだ。 金額は少ないが、人生にとっては大きな一歩だ。 決してアームストロング船長のパクリではない。(笑)外国で金を稼ぐ。全くの自己満足ではあるが、月に行った気分だ。

世間は、サッカードイツワールドカップ一色に染まる。 シェフが、まだ13時過ぎだと言うのに 今日はもう終わり。帰るぞ。と ???。 日本では有り得ない光景だが、 今日はこれからフランス戦がある。だからケーキなんて誰も食べないよ。と 唖然。

ただ、サッカー熱は凄まじい。 またある時、仕事中にジダンの写真が回ってきた。 はて? すると、写真にキスをして回せと。 拒もうものなら非国民だ。 日本のサッカーがヨーロッパには適わない理由が見えたきがした。 ジダンと言えば、サッカー好きならご存知であろう、退場となったあの試合。 たまたま、パリに買い物に来ていた時に立ち寄ったカフェで観戦していた。 凄い熱気・・・。

オカシナタビ 5 メーデー

2016.07.23

なんとも言いようのない気持ちを抱えたまま歩き出す。

いっそこのまま、盗んだバイクで走り出したいくらいだ。25の夜

だが、今は100%勇気、もうやりきるしかないさ。で乗り越えるしかない。先へ。 幸い、アンジェーはわりと大きな町だ。デパート・映画館、何でもある。 ホテルもいくつかあり、直ぐに見つかった。 と言ってもそう簡単に泊まれる訳ではない。

第一の関門、フロント。まず、空き部屋の有無、人数、朝食は必要か? など、つたない英語とジェスチャーでなんとかやり過ごす。

第ニの関門、料金。確か、80ユーロ位だったか、ぼられているのか正規料金なのか 値切る物なのか、よく分からないが、言われるがままに支払う。 パスポートのコピーを取られなんとか鍵を手にする。 わりと綺麗な部屋だった。荷物を置きスーパーを探す。 歩き回った途中いくつか、スーパーらしき店を目にしたので行ってみる。 直ぐに食べられそうな、惣菜系と水、ビールを探した。 常温のビールとレジ横の冷蔵庫に入っている冷えたビール、値段が違う。 記憶の限りでは、倍くらい違がかった。安い方を買う。 ホテルに戻り、夕食、何とも味気ない。ぬるいビールが切なさをあおる。

でも、アンジェーに着き、店の場所は分かった。 取りあえずの安堵感に包まれ、明日に備え寝る。 よし!覚悟を決め再び店へ。

休み?。・・・。

閉まっている。 何なんだこの店は?よく分からぬまま町をさ迷う。 昨日の活気溢れる町とは打って変わり、静まり返る町。 しかたなくホテルに戻りもう一泊したい。と。

なかなか思うように行かない現実と、色々な思いの感情が交差するなか 考える時間が増える。 言葉の壁。町ですれ違う小さな子でもフランス語を喋っている。 当たり前の事だがプレッシャーに感じる。 翌日、これでやっていなかったらパリへ戻り店を探そう。 そんな思いで店に向かう。

やってる!! しかも、働いていると思われる日本人らしき人が!! 聞けば、今日が最終日で店を辞めると言うではないか。 事情を話すとオーナーが出てきて下さった。 詳しい経緯は不明であるが、明日から来いと。やった。

今更、知った事だが、自分が最初に訪ねた4月30日は店の定休日。 翌日、5月1日はメーデー フランスの祝日で休みだった。 日本とは違い、祝日はほとんどの店が休みだ。 当時の自分がそんな事を知る余地も無く、途方に暮れていた。 なにはともあれ やっとスタートラインに立つ事が出来た。

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