部屋を見回すと、本棚に先人が置いていったと思われる地球の歩き方が。
かなり古い本ではあったがこの状況では貴重な情報源だ。
地理的に、パリに出るにはレンヌと言う町までバスでおよそ1時間半、そこからTGVに乗り約2時間。
遠い。
店はたまに連休がもらえたが、スーパーに行く位しかする事のない状況で何をしろと・・・。
地球の歩き方を隅々まで読みあさると、世界的な観光地
モンサンミッシェルが割りと近い事に気づく。
レンヌからバスが出ており約1時間。よし、行ってみよう。
次の連休にモンサンミッシェルへと一泊で向かう。ホテルは沢山あるらしい。
レンヌからバスで向かう。途中、目的地が見えてきた。
小田原辺りから見る、江ノ島といった所か。
昼過ぎモンサンミッシェルへとたどり着く。まず、帰りのバス時間を確認すると、翌朝9時にモンサンミッシェルからレンヌ行きのバスがあるらしい。
流石は世界遺産。圧倒されながらも順路に従い島を一回り。あっという間に時間は過ぎ、夕暮れ。
ホテルを探す。が、島内のホテルはどこも満室との事。
しぶしぶ、対岸およそ2キロを歩き何とかホテルを確保。せっかくのモンサンミッシェル
しかし明日、朝9時には出発しなければならない。
翌日、早朝、まだ夜が明け切らぬ朝6時。ぼんやりとたたずむモンサンミッシェルを目指しホテルを出る。
雄大。何というか、神秘的。色々な思いにふけながら島を目指す。
観光客も居ない、土産物屋もレストランも閉まっている。裏路地、壁の向こうには何が有るのか、よじ登って見たり。誰も居ない島内を歩き回った。
すっかり夜も明け、帰りのバスを待つ。
9時、まだかまだかと待つが一向にバスが来ない??
未だに謎なが、曜日限定なのか、季節的な事もあるのか結局バスは来なかった。
次のバスは、時刻表に目をやると夕方4時。
・・・。まだ朝10時・・・。この陸の孤島で何をしろと。
仕方なく城壁に腰掛け、次から次へとやって来る観光バスを眺める。
日本人の旅行者も多く、たまに日本語も聞こえてくる。恐らくハネムーンであろうカップルも多い、皆幸せいっぱい。テンション高め。
仕方なく、昼寝。塩の満ち引きを眺め、多くの巡礼者が渡ったであろう海を眺め、また、色々な思いにふける。
日本に居るとき、テレビで見たモンサンミッシェル。世界にはこんな凄い場所が有るのか。一度は行ってみたいと思ってはいたが何故だろうこの虚しさは。結局、凄い物を見ても誰かに凄いね!と言えない、美味しい物を食べても、これ美味しい!と言えない不満感。孤独とはこう言う事。などなど色々考える。
そして、また、孤独な町に帰る。