よし。 パリも残す所あと1泊。 明日、アンジェーと言う町まで行く切符を買おう。幸いにも駅は目の前。
意気揚々と窓口へ、5、6カ所ぐらい窓口が並んでいる。 はて?どこでも一緒?よく分からぬまま、向かって右の窓口へと並ぶ 朝から長蛇の列。30分程並びようやく順番がきた。 窓口のおばちゃんに地図を見せここに行きたい。と、指をさし伝える。
バリバリのフランス語で %※%☆¥¥%☆*‡%と言われ、右の方を指さされる。 隣に並べと言うことか? 仕方なく、隣の列へ。 またしても30分位並ぶ。やっと自分の番が来た。 先制パンチ、%#*☆¥☆※¥☆*※#%‡%。
チーン。
地図を指差し必死に訴えるも
ドゥーユースピーク イングリッシュ?
ア リトル
ドゥーユースピーク フランセーズ?
ノー
おばちゃんのため息、 締めの一言
ネクスト。
あえなく撃沈。
途方に暮れかけたが、気を取り直し辞書を引く。 何か使えそうなフレーズは無いか、なんとかそれっぽい言葉を紙に書き再び窓口へ。 今度は3番目。 又しても、 並ぶ事30分。ようやく巡って来た自分の番。 メモを見せ、パリからアンジェーと必死に訴える。 が、又しても右へとジェスチャー。
おいおい、またか。 よく分からぬまま、4番目の窓口へ。 流石に気が滅入る。 が、又しても右へと。 時は既に昼時、午前中並び続け、切符一枚も買えぬこの虚しさ。
駅構内が見渡せるベンチに腰掛けしばらく人の流れを見つめる。
あることに気づく、今まで自分が並び続けていた窓口は割合身軽な人が目立つ。 反対にスーツケースなど大きな荷物を抱えた人はデパートの入り口のような所に進んで行く。
ここでハッとした。
あの右へのジェスチャーは隣の窓口では無く、デパートの入り口のようなあの場所を意味していた事に。 気を取り直しいざデパートの入り口へ。 自動ドアの向こうにTGV高速鉄道の文字。
制服を着た駅員。先ほどまでのおばちゃんとは明らかに違う。 しかも、すいてる。 そして直ぐに自分の番が来た。 先ほどのメモを見せる。まだ若めの兄ちゃんだ。
パリからアンジェ、
トゥデイ?
トゥモロー
リターン?
オンリー
まだ若めの兄ちゃん、仮にジュリアンと名付けよう。 このジュリアンがなかなか飲み込みの早い青年で、巧みなジェスチャーと簡単な英単語でなんとか作戦を成功へと導いてくれた。 メルシージュリアン。
結果的に、パリには主要駅が6カ所ありそこから各都市へとTGV、日本で言う新幹線が発着している。 アンジェーへは、モンパルナスと言う駅からTGVが発着しているが自分はサンラザール駅で切符を買い求めた事がまた、ややっこしく さらに例えると 新宿駅小田急線の窓口で、新幹線の切符を買い求めているような感じだったと今更ながら思い返す。
今でこそ、笑い話に思えるが当時、スマホなんて物があるわけでもなく行動あるのみ。 ギブアップすれば誰か助けてくれるのであれば、とっくに音を上げていたところだ。 でもね、誰も助けてくれない。 気付けば夕暮れ。1日がかりでようやく一枚の希望を手にすることが出来た。 写真は、今では良き思いでの1コマとなった?切符です。