LA PORTE D’OR

店主のブログ〜

オカシナタビ 12 貝売りおじさん

2017.04.15

仕事終わり毎週土曜、教会の前に貝売りのおじさんがやってくる。

毎週末の密かな楽しみの一つだ。ムール貝やあさり、牡蠣などを軽トラで売りに来る。たいてい、ムール貝を1キロ購入する。約5ユーロ位。どういう訳かあさりは高い。

仕事は朝4時から始まり、午後2時位には終わる。帰りにいつもオーナーがバケットを1本持たせてくれるのでバケット片手に貝売りおじさんの所でムール貝を購入し帰路につく。鍋にバター、にんにく、玉ねぎ、ムール貝、最後に白ワインをふりかけ火にかける。日本で言うところの酒蒸し。ムール貝からでる程よい塩加減で最高のムールマリネが出来上がる。

その残り汁を生クリームで伸ばし、塩、コショウで味を整え茹でたパスタを絡めて食す。これがまた美味!皿に残った、ソースをバケットで拭き取る様に食す。これがまた美味!日本で食べるバケットとあの頃食べていたバケット。気持ちの問題か材料の違いか、全然別物に感じる。他に大した娯楽が無い分、食べられる喜びみたいな物があったのか。

徐々にではあるが、慣れ始めたフランス・プロエルメル生活。気がつけば秋、肌寒い日が増えてきた。当時の洋服と言えば日本から持ってきたTシャツ3枚、ズボン1枚。どれもだいぶくたびれてきた。よし、服を買おう。少し郊外にあるしまむら的な店に向かう。試着出来るのか、サイズの違いはどうなのか、服1枚買うのにビビる。意を決して購入した赤いトレーナー。案の定デカい。日本と違い手にとって見るを嫌がるフランス人、何かの本に書いてあった言葉が脳裏をよぎる。試着出来ますか?と言えたらどんなに楽か。返品出来ますか?はい。言えない。

大きな夢を抱いて来たはずなのに何ともちっぽけな自分。一つクリアすればまた新たな難題。そんな繰り返しの中でいつも始まる、自問自答。職場の人達は皆親切。もう直ぐ、クリスマス、フランスの田舎町のクリスマスもどんな物か見てみたい。よし、年が明けたらパリに行こう!酒が入ると強気ではあるが、また、新たな職場探し、住居の確保。諸々考えると・・・。こうしてまた、自問自答に突入し1日が終わる。

そんな時、よく聞いていた曲がある。日本から送ってくれた荷物の中に弟が入れてくれたであろうミスチルのCD、その中の一曲「ALIVE」何気に聞いていたがすごく心に入ってくる。

意味はなくとも 歩は遅くとも

残されたわずかな時を

やがて高野に 花は咲くだろう

あらゆる国境線を越えて

 

報いはなくとも 救いはなくとも

荒れ果てた険しい道を

いつかポッカリ 答えがでるかも

その日まで魂は燃え

 

ご存知のかたも多いとは思いますが、ミスチルALIVEぜひYouTubeか何かで聞いてみて下さい。

 

 

 

写真はムールマリネ!本当、よく食べました!

オカシナタビ 11 ああ、世界遺産

2016.12.01

部屋を見回すと、本棚に先人が置いていったと思われる地球の歩き方が。

かなり古い本ではあったがこの状況では貴重な情報源だ。

地理的に、パリに出るにはレンヌと言う町までバスでおよそ1時間半、そこからTGVに乗り約2時間。

遠い。

店はたまに連休がもらえたが、スーパーに行く位しかする事のない状況で何をしろと・・・。

地球の歩き方を隅々まで読みあさると、世界的な観光地

モンサンミッシェルが割りと近い事に気づく。

レンヌからバスが出ており約1時間。よし、行ってみよう。

次の連休にモンサンミッシェルへと一泊で向かう。ホテルは沢山あるらしい。

レンヌからバスで向かう。途中、目的地が見えてきた。

小田原辺りから見る、江ノ島といった所か。

昼過ぎモンサンミッシェルへとたどり着く。まず、帰りのバス時間を確認すると、翌朝9時にモンサンミッシェルからレンヌ行きのバスがあるらしい。

流石は世界遺産。圧倒されながらも順路に従い島を一回り。あっという間に時間は過ぎ、夕暮れ。

ホテルを探す。が、島内のホテルはどこも満室との事。

しぶしぶ、対岸およそ2キロを歩き何とかホテルを確保。せっかくのモンサンミッシェル

しかし明日、朝9時には出発しなければならない。

翌日、早朝、まだ夜が明け切らぬ朝6時。ぼんやりとたたずむモンサンミッシェルを目指しホテルを出る。

雄大。何というか、神秘的。色々な思いにふけながら島を目指す。

観光客も居ない、土産物屋もレストランも閉まっている。裏路地、壁の向こうには何が有るのか、よじ登って見たり。誰も居ない島内を歩き回った。

すっかり夜も明け、帰りのバスを待つ。

9時、まだかまだかと待つが一向にバスが来ない??

未だに謎なが、曜日限定なのか、季節的な事もあるのか結局バスは来なかった。

次のバスは、時刻表に目をやると夕方4時。

・・・。まだ朝10時・・・。この陸の孤島で何をしろと。

仕方なく城壁に腰掛け、次から次へとやって来る観光バスを眺める。

日本人の旅行者も多く、たまに日本語も聞こえてくる。恐らくハネムーンであろうカップルも多い、皆幸せいっぱい。テンション高め。

仕方なく、昼寝。塩の満ち引きを眺め、多くの巡礼者が渡ったであろう海を眺め、また、色々な思いにふける。

日本に居るとき、テレビで見たモンサンミッシェル。世界にはこんな凄い場所が有るのか。一度は行ってみたいと思ってはいたが何故だろうこの虚しさは。結局、凄い物を見ても誰かに凄いね!と言えない、美味しい物を食べても、これ美味しい!と言えない不満感。孤独とはこう言う事。などなど色々考える。

そして、また、孤独な町に帰る。

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