LA PORTE D’OR

店主のブログ〜

オカシナタビ 10 アウェイ

2016.11.07

お陰様でなんだかんだと、10回目を迎える事が出来ました。お付き合い頂きm(__)m

この先、色々な事が待ち受けますが、このブログはフィクションです。 

ご想像にお任せ致します。

訳も分からず、ブーランジェリー パティスリー(パン屋だけどケーキも売っているフランスではよくあるスタイルの店)

で働き始める。

朝4時に出勤。さほど何を言ってるか分からないが身振り、素振り教わる。そして午後2時仕事が終わり帰路につく。

…。

する事も無いが、行くところも無い。唯一の娯楽と言えば近所のSEIYU的なスーパーに買い物に行くこと。

そして唯一の利点としては、気を使わない。

世間体、近所付き合い、日本では当たり前の感覚が薄い。自分がどこから来て何をしているか周りは、気にもとめない。

完全アウェイなこの状況。まさに絶望の淵。だが、神は見捨てなかった!

いつもの様に悪戦苦闘しながら仕事をしていると、突然、シェフがちょっと来い!と、手招き??

はて?何がバレたのか!?

売り場に案内されると、日本語が!!!

あなたここで働いているの?とマダム

シェフがマダムに何か話しているが良く分からない。

マダムの答えを求める視線がこちら向くが、よく分からない。

すると、マダムが、「言葉も分からずここで暮らしているの!?」と。

すみません(_ _)

すると

言葉も分からず、ここで暮らしている方が凄い!と

誉めらているのか、けなされているのか(^^;)

隣町にフランス人のご主人と住む、日本人のマダム。聞けば、月に何度かパンを買いに来るらしい。後にフランスの母となる、嬉しい出来事となる。

何度か店で顔を合わせるうちに、今度、家に遊びに来ればとお話しを頂く。

図々しいながらも、お邪魔すると小学生の息子さんと優しそうなご主人が出迎えてくれた。家の中に暖炉、愛犬、絵に描いたようなフランスの古民家。 日本食、チラシ寿司をご馳走してくれた。何ヶ月ぶりのお米。お酒は呑むの?と、日本酒!

言葉の通じるまともなやりとり、当たり前の事が嬉しい。

ただただ、感謝。ひさびさの家庭の温もり。今でもこのご一家とは近況報告をしあうご縁を頂いております。

たまには、円満に終わりにします。

 

 

 

 

 

オカシナタビ  9 シーター

2016.09.29

凄い。この街。 フランスの地図を思い浮かべて欲しい。左上の辺り、アンジェより車で2時間。

日本人どころか、中国人、東洋人すらいない。                   人口約9000人。

店は、例えるなら、アンジェは魔女の宅急便のキキが住んでいた街。         プロエルメルは、パズーが肉団子スープを買った、あの商店街にありそうなのパン屋さん。

これから働く事となったこの店は、代々日本人が働いていたらしく、働きに来る日本人には一定の理解がある。店の従業員は皆、親切。 

ひとしきり挨拶をすませる。              

そして、店から徒歩5分程の所にある、部屋に案内される。さほどなにを言っているか分からないが、おそらく、ここがお前にお部屋だと。   

時はもう夕暮れ。

明日は休みで明後日、朝4時にこい。と                                       全ったくもってよく分からないままプロエルメル生活がスタートする。

一人、ぽつーんと、取り残された世界。

ここは世界中のどこなのか、それすらよく分からない。

辺りを見回すと、棚の上にノートが、見ると日本語で先人が書き残したと思われる手書きの地図が、言葉は消えるが、文字は残せると言う素晴らしさに改めて気づく。スーパーの場所や郵便局、銀行など主要所が記してある。こんな孤独な土地で日本語、少し涙。

明くる日、街を歩けば、3才位の子供に丸い目で見られ、スーパーで油や塩を購入すれば、定員の兄ちゃんが、ここに住んでるの?と(笑)

飛行石でも持って穴に落ちたい、そんな気分だがシーターがいない。現実は厳しい。  

地図には近くに湖が有ると記してある。行ってみようと歩きだす。途中、自然になっていると思われるリンゴの木を見つけ、かじってみる。ゥェ。渋い。とても食える代物ではない。日本で品種改良されたリンゴが、とてつもなく美味しい事が分かる。

20分程歩き、ようやく、たどり着く。湖と言っても、本当に湖そのもの。白鳥の乗り物も、湖畔のホテルも、なにもない。広大な自然。切なさをあおられ、帰路につく。      

たとえるなら、シーターをムスカに奪われ、渋々家に戻る、パズーの気分だ。

幸いな事に、店とは逆に5分の所に大きなスーパーがあった。本屋さんなど併設してる。日本で言うSEIYU的な感じか。必要な物は最低限何でも売っている。       

明日は4時出勤。パン屋さんだけあって朝は早い。この先何が待ち受けているのか想像もつかないが逃げ出す手段もよく分からない。日本語を知っていても、伝える相手が居なければ、無意味だと当たり前の事だが、また、改めて思い知らされる。

アンジェはまだ良かった。住んでいる日本人も多く、街を歩けば、まれに日本語も聞こえてくる。何より鉄道が通っている。考え出すと切りが無い。

もう寝よう。

 

 

 

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